日本と比べて進んでいるの?海外の小学校のICT・プログラミング教育事情


日本はICT教育後進国と言われており、教育現場におけるパソコンの導入率が低く、パソコンを使う機会も少ないことが問題とされていました。しかし、現在は、GIGAスクール化によりICT教育改革が急速に進められています(詳細はこちら)。


以前と比較する日本のICT教育はずいぶんと進歩しているように思いますが、海外と比較するとどうなのでしょうか?海外でもプログラミング教育は必修化されているのでしょうか?


こちらでは、日本と海外のICT・プログラミング教育について比較しています。




日本はICT教育後進国・海外と日本のICT教育環境の比較


残念ながら、日本はICT教育後進国と言われているそうで、技術大国として上位にランクアップしている日本の教育がこれではまずい!!となったということも改定の理由なのかもしれません。


それでは、海外はどのくらい進んでいるのでしょうか?


海外と日本のICT教育環境を比較してみました。
下の表で比較すると日本のパソコンの整備がずいぶん遅れていたことがわかります。

 国名 教育用PC整備率(人/台)   調査対象年
(記載なしは初等中等教育の範囲)
 調査年  出典
 アメリカ 3.1   2008  米国教育統計センター(NCES)調査
イギリス   6.8 小学校相当 2012   英国教育事業者協会(BESA)調査
4.2 中学・高校相当
フィンランド  3.5 小学校・中学校相当 2013  国家教育委員会提供資料
2.1 高校相当
デンマーク    2.9 小学4年相当 2011    EuropeanSchoolnetサンプル調査
(ICTinEducation-ESSIEsurvey
SMART2010/0039)データより
2.9 中学2年相当
2.1 高校2年相当
オランダ  5 小学校相当 2012  オランダKennisnet調査
4.9 中学・高校相当
オーストラリア(ビクトリア州  1.3   2014    ビクトリア州教育・幼年期発達省
(DEECD)調査
1.9 小学校相当
1 中学・高校相当
 シンガポール 4   2011 ユネスコ統計局(UIS)資料
韓国  4.7   2012 韓国教育開発院(KEDI)調査
日本   6.5   2014  文部科学省調査
 4.9   2020
データの出典①:「先進各国における教育用コンピュータ整備率(教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究 図表4-2)」(総務省)
データの出典②:「令和元年度学校における教育の情報化の 実態等に関する調査結果(概要)」(文部科学省)
データ①と②を統合して加工


2020年になっても、日本の教育用コンピュータ整備率が4.9人/台。2014年の6.5人/台から改善しているものの、 アメリカに比べると10年以上も遅れていたことがわかりました。




図の出典:「令和元年度学校における教育の情報化の 実態等に関する調査結果(概要)」(文部科学省)


教育用日本のコンピュータ整備率は地域間で差があることも問題になっています。都道府県別に比較すると、最高は佐賀県の1.8人/台で、最低は、愛知県の7.5人/台。佐賀県スゴイですね。もしかして、大手IT企業DeNAによる実証研究の影響なのでしょうか?(DeNA プレスリリース


教育用コンピュータ整備率の低さは、学習におけるコンピュータ活用率の低さへとつながります。



図の出典:教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究(総務省)


OECD(経済協力開発機構)のPISA(学習到達度調査)2012調査によると、課題に取組むために学校でインターネットを閲覧するとした生徒の割合は、OECD平均で63.4%、最も高いノルウェーで85%であったのに対し、日本は20.3%と非常に低い値となっています。



図の出典:教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究(総務省)


学校外でコンピュータを用いて宿題に取組むとした生徒の割合はOECD平均で66.5%、最も高いオランダでは79.6%で、日本の割合はわずか8.1%。その他いろいろな調査結果が示されていますが、いずれも日本が調査参加国中最低の値を記録しており、他国との差も非常に大きいことが示されています。調査が実施された2012年では、インターネットを見たり、メールしたり、ゲームしたりなど電子機器を使っている子は多いように思いますが、当時は、勉強には、コンピュータを使ってなかったということでしょう。


残念ながら、こういった資料を見る限り、 日本はICT教育後進国と言われていたのも仕方がない気がします。


このような問題を解決するため、現在、日本は国のプロジェクトとして、ICT教育環境の整備が急速に進み、現在は、 小学校でも一人一台のパソコンが当たり前となりました。


しかし、急速な変化に課題はつきもの。先生や子供たちがICT教育環境に慣れ、本格的に活用されるようになるには、いくつかの課題も残っているようです。




日本と比べて進んでいるの?海外の小学校のプログラミング教育事情


日本では、2020年度から小学校からのプログラミング教育が必修化されました。海外はいつごろプログラミング教育が導入されたのでしょうか?下の表は、海外のプログラミング教育導入時期についてまとめたものです。

イギリス 2014年9月のイングランドのカリキュラム改訂で5歳~16歳でのプログラミング教育を必修化
イスラエル 2000年に高校におけるプログラミング教育を必修化、現在中学への導入も計画中
エストニア 2012年に小学校から高校まで計20校のパイロット校でプログラミング教育を開始
オーストラリア 連邦政府の新たなカリキュラム案は8歳~13歳のプログラミング教育を必修化する内容(現在最終承認待ち、2016年頃から各州で実施の見込み)
韓国 2015年から全中学校で教科外活動でのプログラミング教育を実施2018年にはプログラミング教育を含む「ソフトウェア」学習を正式科目に採用予定
ニュージーランド 2011年に高校生がプログラミング等のコンピュータサイエンスを学ぶ新カリキュラム導入
フィンランド 2016年のナショナルカリキュラム改訂で7歳~16歳でのプログラミング教育を導入
フランス 2014年から小学校での選択制プログラミングコース提供、中学校での必修化を検討中
図の出典:教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究(総務省)


プログラミング教育の学校カリキュラムへの導入という意味では、日本が遅れをとっています。”必修化”という点においては、選択制で教育をしていたり、小学生ではなく、中学や高校で必修化していたりとそれぞれの国によって異なっているようです。


そして、”小学生”に注目すると、英国では2014年9月に初等教育段階からプログラミング教育を必修化、そして、オーストラリアでも必修化の動きがあることがわかりました。

英国は5年以上も日本に先行して小学校でプログラミング教育を必修化していたんですね!


英国では、プログラミング教育として、どのような授業が行われているのか、日本と比べてどれほど進んでいるのか、英国の教育事情が気になるところです。





まとめ

日本はICT教育後進国と言われていましたが、現在は、GIGAスクール化によりICT教育改革が急速に進められています。私たちが小学校の頃と比較すると子供が学ぶべきことはずいぶんと変わってきているようですね。


プログラミング学習やタイピングのスキルアップなど様々な家庭学習について、下記のような記事を紹介しています。是非、ご覧ください。




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教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究(総務省)
令和元年度学校における教育の情報化の 実態等に関する調査結果(概要)(文部科学省)