小学生が新時代に求められる読解力を養う方法とは?



小学生にとって言語能力に基づく新たな読解力は、新しい学習指導要領においても、全ての学習の基盤となる資質・能力の一つとして、その必要性が掲げられています。


新たな読解力とは、これまでの私たち親世代が習ってきた”物語や説明文を正確かつ詳細に読んで理解する”ということとは異なり、実生活にどの程度応用できるかという”リテラシー”としての読解力です。


新旧の差異はあるものの、今も昔も変わらないことは、読解力は国語だけではなく全ての学習の基本であること。読解力を子供に身につけさせたいと考えている方も多いのではないでしょうか?


そこで、こちらでは、これからの時代に求められる新たな読解力とはどんなものなのか?さらに、その『読解力』を養うために家庭でできる方法について考えていきます。







国際学力調査(PISA、TIMSS):文部科学省

PISA調査における読解力の定義,特徴等:文部科学省

情報の科学と技術 68 巻 8 号,390~394(2018)






小学生が新時代に求められるPISA型読解力とは?


小学生にとって言語能力に基づく新たな読解力は、新しい学習指導要領においても、全ての学習の基盤となる資質・能力の一つとして、その必要性が掲げられています。

文部科学省が目指す新たな読解力とは、PISA型読解力です。

自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。

と定義されています。


つまり、これまでの私たち親世代が習ってきた”物語や説明文を正確かつ詳細に読んで理解する”ということとは異なり、社会の多様な資料やデータを比較して既有知識を 活用しながら深く読み取り、読み取った結果を自分なりに 解釈・評価してわかりやすく表現するという総合的な学力を意味しています。



もっとわかりやすく意訳すると、これまでは、「文章を理解する」力があればOKでしたが、これからは、「文章、図、表、グラフなど、様々なスタイルの情報を理解してその先を考える」力が求められているということになります。



ところで、PISA型読解力のPISAとはなんでしょうか?


PISAとは、 Programme for International Student Assessmentの略称。「生徒の学習到達度調査の調査」です。世界各国の 15 歳の子供を対象に OECD(経済協力開発機構)が実施する試験で、出題分野は読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーとなっており、2000 年より 3 年ごとに実施されています。「国語」「数学」「理科」などと教科ではないことがポイント。これは、実生活にどの程度応用できるかという”リテラシー”を測る調査だからです。


文部科学省では、義務教育修了段階(15歳)において、これまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測るために、「生徒の学習到達度調査(PISA)の調査」を実施しており、この調査結果に基づいて、学習指導要領の改訂だけでなく教育基本計画や教育改革などを実施しています。







OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)の結果公表を受けての萩生田文部科学大臣コメント:文部科学省 (mext.go.jp)






PISA型読解力を養う方法とは?


前項では、PISA型読解力について解説しました。それでは、PISA型読解力を身につけるためにはどのような学習が必要なんでしょうか?



以下は、学習指導要領の抜粋です。

読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。 ア 事実と感想、意見などとの関係を叙述を基に押さえ、文章全体の構成を捉えて要旨を把握すること。 イ 登場人物の相互関係や心情などについて、描写を基に捉えること。 ウ 目的に応じて、文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり、論の進め方について考えたりすること。 エ 人物像や物語などの全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすること。 オ 文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えをまとめること。 カ 文章を読んでまとめた意見や感想を共有し、自分の考えを広げること。


読むこととはどういうことかについて、とても詳しく書かれています。
確かに、学校の国語では、先生が物語を分解したり、細かく説明してくれてたり、クラスの友達で自分の考えを話し合ったりしていますね。しかし、先生級の授業を家庭で実践するのは無理そうです。


さらに、「指導計画」のところまで読み進みます。

読むこと に関する指導については、読書意欲を高め、日常生活において読書活動を活発に行うようにするとともに、他教科等の学習における読書の指導や学校図書館における指導との関連を考えて行うこと。


読解力を高めるには、読書が大切なようです。面白い本を買ってあげたり、読書しやすい環境を整えてあげたりなど、読書をお手伝いすることは家庭でもできそうですね。



それでは、たくさん本を読めばよいのでしょうか?


OECD(経済協力開発機構)の学習到達度調査(PISA)の報告書と調査結果のまとめでは、読解力だけではなく、数学的リテラシー及び科学的リテラシーの調査結果やOECDと日本の比較などが記載されていますが、こちらでは、日本において、読解力と読書との関係がどうであったかについて注目し要約します。


〇「読書は、大好きな趣味の一つだ」及び「本の内容について人と話すのが好きだ」について「まったくその通りだ」「その通りだ」と「肯定」したグループの方が、「まったくその通りでない」「その通りでない」と「否定」したグループよりも統計的に有意に読解力の平均得点が高い。

〇「読む本の種類・頻度」に関する5項目「(1)雑誌」「(2)コミック(マンガ)」「(3)フィクション(例:小説、物語)」「(4)ノンフィクション(例:伝記、 ルポルタージュ)」「(5)新聞」のうち、「(2)コミック(マンガ)」「(3)フィクション(例:小説、物語)」「(4)ノンフィクション(例:伝記、ルポルタージュ)」「(5)新聞」の4項目において、「月に数回以上」読むと回答したグループの方が、そうでないグループよりも読解力の平均得点が統計的に有意に高い。

〇「趣味として読書に費やす時間」について、「1.趣味として読書はしない」「2.1日30分以下」「3.1日31分~1時間未満」「4.1日1時間~2時間」「5.1日2時間より長い」という、五つの選択肢の中で、「4.1日1時間~2時間」と回答した生徒の読解力の平均得点が最も高い。



つまり、読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒の方が、PISA型読解力の得点が高いことがわかりました。

また、マンガ、フィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒のPISA型読解力の得点が高いことから、読むもののジャンルはそれほどこだわる必要はなさそうです。


つまり、PISA型読解力アップを目指すなら、単にたくさん読めばいいというわけではなく、「楽しんで読む」という読書の質を大切にしなければならないようです。いやいやたくさん読んでも、苦痛なだけでなんの役に立たないということですね。


小学生☆楽しく本を読む!子供が読書好きになる!3つの方法のページでは、「楽しんで読む」方法について紹介していますので、よろしければご覧ください。



PISAの報告書と調査結果全文を確認したい方はこちらをご覧ください。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果:文部科学省 (mext.go.jp)

OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~2018 年調査国際結果の要約~

実際に生徒に行った読解力テストの内容やアンケートを確認したい方はこちらをご覧ください。
OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~ 2018 年調査問題例~
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