長持ちする書道用具のお手入れ/古い筆と硯を洗って復活させる方法


物には寿命があるものですが、筆や硯といった書道道具はどれくらい使えるものなのでしょうか。せっかく奮発して高いお道具を揃えてあげても、小学生のころは、筆で遊んでしまったり、硯のお手入れが上手にできなかったりします。正しい使い方とお手入れ方法を教えてあげて長く大切に使ってもらいましょう。


こちらでは、筆や硯の正しいお手入れ方法や寿命、買い替え時期、再生方法などについて紹介しています。




筆の寿命と長持ちするお手入れ方法


筆の寿命はどれくらいなのでしょうか。使う頻度、筆の種類、墨などでも、寿命が変わりますが、筆は適切にお手入れすることで数年かそれ以上使えます。墨は完全に乾いてしまうとなかなか取れませんので、筆は使ったらその都度洗うようにしましょう。


大筆・太筆の普段のお手入れ方法

大筆の場合は、おろしていない筆の根元部分に水がかからないように、手でつまみながら墨を洗い流します。



流水では筆を痛めることが多く、子供に手入れさせる場合は流水で洗うのはとても難しいです。ペットボトルや瓶など筆を洗う専用の容器に溜めた水で洗うようにするとよいと思います。低学年のお子さんは、親が最後に仕上げをして確認してあげましょう。


ちなみにですが、洗面所についた墨は、激落ちくんで綺麗になりますよ。



洗い終わった筆は、穂先を整え、使い終わった半紙などで水分をふき取ります。



湿った筆にキャップをつけると、カビたり腐ったりしますので、絶対に使わないようにしましょう。



湿った筆は、風通しの良い日陰で吊るして自然乾燥させましょう。干すときは穂先を下向きにします。筆を干すときはおしゃれな専用のスタンドもあるようですが、S字フックや洗濯ばさみなどでも十分だと思います。


筆が吊るせる便利なスタンド


小筆の普段のお手入れ方法


基本的に小筆は大筆のような洗い方はしません。注意しておかないと、子供が小筆を水洗いしてしまった!!ということが起こりがちです。予め教えておいてあげましょう。


小筆は、使い終わったら、水で濡らした湿らせたキッチンペーパーや使い終わった半紙(白い部分をつかう)などで穂先を整えながら墨をぬぐい取っていきます。最後は、風通しの良い日陰で自然乾燥させてください。購入したときのキャップにしまうと筆が腐ったり、カビたりしますので、絶対に使わないようにしましょう。




ダメになったと思っても捨てないで!筆を洗って復活させる方法


使っているうちに筆先が割れるようになったということはないでしょうか。筆が割れる原因のほとんどは筆の寿命ではなく、墨の洗い残しのことが多いようです。筆の根元に墨が固まってしまうと、筆が割れてしまい、上手な字が書きづらくなってしまいます。



私の場合、先が割れるようになったら、筆の寿命だと思って筆を処分してしまっていたのですが、捨てるくらいならと思って念入りにお手入れしてみたらうまく再生しました。下記に、その方法を紹介したいと思います。



まずは第一段階として、念入りに水で洗います。プラスチックの空き箱など、捨ててもよいものを準備してください。私は、豆腐の空き箱を使いました。プラスチックの空き箱に水をはり、筆を浸します。



筆の根元を手で優しくもむと固まった墨のかたまりがでてきました。水の代わりにぬるま湯を使うとさらによく落ちます。あまり水が濁らなくなったら終了です。



上記の方法で筆割れが改善しない場合は、第二段階として、筆を水に浸します。私が準備したのは、洗濯ばさみとタオル、ペットボトルです。タオルを筆に巻いて、洗濯ばさみでとめます。



ペットボトルに水をいれて、先ほどの筆を浸します。水の量や洗濯ばさみの位置を調節して筆の根元まで水が浸るようにください。コツは、筆の穂先が底につかないようにすること、穂先を下向きにすることです。


私は一晩つけてしまっても問題はなかったのですが、筆によっては傷んでしまうかもしれません。一般的には長時間浸すのはおすすめされてないようですので、まずは数時間から様子を見てあげてくださいね。



ここまで洗っても綺麗にならない場合は、最終手段として、筆を専用洗剤で洗います。これまでの工程が面倒だという方は、第二段階(長時間水に浸す)を省略して、筆専用洗剤で洗うというでも大丈夫だと思います。短時間できれいになり、使う水も少量ですみます


筆の状態にもよるので一概には言えないかもしれませんが、ここまで入念に洗えばほとんどの筆割れは改善するのではないかと思います。


筆はたいてい動物の毛でできているため、お家にある石鹸や洗剤で洗うと筆が傷んでぱさぱさになります。必ず筆専用の洗剤を使いましょう少量の筆専用洗剤で洗っただけで穂先が柔らかくなり字が書きやすくなる上、筆も長持ちします。是非使ってみてくださいね。


筆のお手入れにおすすめ 筆専用の洗浄剤

こちらで紹介した方法で筆を洗っても、うまく字が書けなくなったり、穂先が摩耗してきたら寿命です。正しくお手入れした筆は数年は使えると思いますので、是非こちらで紹介した方法を試してみてくださいね。


筆のお手入れにおすすめ 筆専用の洗浄剤


硯のお手入れと寿命


硯は、硯石や瓦などで作られています。墨よりも硯の方が固いので、墨をすっても硯の方はほとんどすり減ることはありません。目がつまっても硯用の砥石で研ぐことができます


ちなみにですが、うちの子が使っている硯石の硯は40年物。おばあちゃんが使っているものはおばあちゃんのおじいちゃんが使っていたもので、おそらく100年物ですが、どちらも現役で活躍しています。一度購入すればずっと使えますので、大切に使ってくださいね。


小学生用として売られているプラスチックの硯は、目がつまってしまうとだんだん墨を擦ることが出来なくなるそうです。また、プラスチックの劣化は石よりは早いので、代々受け継ぐということも難しそうですね。



長持ちするとは言え、硯に固まった墨がこびりついてしまうと、墨を擦ることができなくなります。小学生の間は墨を擦ることはあまりないと思いますが、今後のために、適切なお手入れの方法を教えておいてあげましょう。


硯に残った墨は、キッチンペーパーや使い終わった半紙などで拭き取ります。この時、強く擦るように拭くと紙の繊維で目詰まりするので注意してください。次に、流水に当てながら柔らかいスポンジなどで硯を洗います。タワシなどの固いもので洗うと硯の表面に傷がつくので使わないようにしましょう。洗い終わったら水分をふき取ってから十分に乾燥させます。


小学生におすすめ 大筆と小筆セット



墨がこびり付いた硯をすっきりキレイにする方法


小学生のお子さんの場合、うまく手入れができない、学校で使ったまま放置してしまったなどの理由で気が付いたら、硯に墨ががちがちにこびりついてしまった!!ということも多いように思います。小学生の間は墨を擦ることはあまりないので、このままでも使えるのですが、見た目が汚いと気分があまりよくありません。お兄ちゃんやお姉ちゃんのおさがりでという場合も嫌がられそうですね。



使い終わってから時間が経ってしまった硯は、水に浸してから洗うと墨が落ちやすくなります。その際に、ポリ袋などに水を注ぎ、その中に硯を入れるようにすると容器が墨で汚れません。



墨がこびりついてしまった場合は、1時間くらいつけておきましょう。汚れがひどい場合は、一晩つけておくとずいぶんと綺麗になります。長時間浸す場合は、ポリ袋ごとバケツなどに入れておけば万が一こぼれてしまった場合にも安心です。最後に、墨のこびり付きを柔らかいスポンジでこすってみてください。水に浸して柔らかくなっているので、どんどん取れると思います。


硯を洗うと見違えるように綺麗になりますので、定期的に洗ってみてくださいね。小学生では、まだまだ上手にお手入れできないと思いますので、親御さんの方でサポートしてあげてくださいね。


硯の寿命は長く、割れなければずっと使い続けることができます綺麗にする方法を知っておけば、親子や兄弟など代々使っていけると思いますので、大事に使ってあげてくださいね。


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まとめ


一般的には、使う頻度、筆の種類、墨などで、筆の寿命は決まると終われていますが、小学生の場合、筆の寿命を決めるのは、筆の使い方とお手入れの方法だと思っています。小学生の低学年はいたずらが大好きで、筆で遊んでしまうということがよくありますので、まずは、子供にしっかりとお道具の大切さを伝えてあげる必要がありそうですね。


うちの子は一年生の時に、筆で墨を泡立てたり、筆を硯に押し付けてぐりぐり。。。など、筆で遊んでしまって、穂先が摩耗して使えなくなった!ということがありました。うちの子の場合、一年生では時期尚、習字は道具の大切さが理解できるようになってから始めるということになりました。学校で始める3年生くらいでちょうど良かったように思います。


私は大人になってから、念入りに洗えば筆や硯が復活することを知り、これまで無駄にしてしまったお道具のことを思って残念な気持ちになりました。書道用具はそれなりにお値段もするものなので、今は、しっかり洗って大事に使っています。正しくお手入れをすれば、筆は数年かそれ以上使えます硯は半永久的に使えます。小学生では、まだまだ上手にお手入れできないと思いますので、親御さんの方でサポートしてあげてくださいね。